賞状書士になるには通信教育がおすすめですが、実際にはどのような道具を使って筆耕をするのか、気になるという人もいるのではないでしょうか。
本当に必要なものを、実際に賞状を書いている私がご紹介いたします。
道具選びにお悩みの人にも参考にしていただければ幸いです。
目次(お好きなところからどうぞ!)
賞状書士・筆耕のお仕事に必要な道具
賞状書士として、筆耕の仕事をする上で本当に必要なものは3つ。
それぞれの特徴や選び方をチェックしてみましょう。
筆
筆の種類
賞状やはがきなど、筆文字で筆耕するときに必要な筆は小筆です。
書道経験者であれば「仮名用の筆」と言えばご理解いただけると思いますが、筆耕する時にはその小筆の穂先のみに墨を付けて書きますので、穂先の消耗が激しく、傷み易い筆と言えます。
一般的には国産の小筆と「唐筆」と呼ばれる中国産の小筆があります。
筆の選び方
使いやすい穂先の長さは、何を書くかによって変わりますが、賞状を書くことを念頭に置くのであれば「穂先が24mm~26mm程度」の小筆が扱い易いでしょう。
また、賞状の全文を10枚程度書くだけで穂先に傷みが生じるとも言われていますので、必ず2本は手元に置くようにしましょう。
書き味や筆の柔らかさなど、製造元によって差があります。
いくら慣れている人であっても「一つとして同じ筆はない」という認識ですので、その都度書き方を変えなければならないこともあります。
国産と唐筆の差
国産の筆は毛が柔らかく寿命がやや長めですが、価格は高め。
唐筆は価格が安い反面、毛が硬めでコシを感じる1本という印象ですね。
どれが良いのか悩むという方は、唐筆の「選毫圓健(せんごうえんけん)」を一度試してみても良いかもしれません。
墨もしくは墨汁
固形の墨を使う書士の人も少なくない一方で、私のように墨汁を使う人もいます。
墨
色合いを大切にしたい人には墨がおすすめ。
「古梅園 紅花墨」が定番の墨と言われています。
墨を磨ることで集中力を高めることもとても大切なことと言えるでしょう。
墨汁
私がいつも使っているのは、「墨運堂 三歌仙 賞状・目録用」です。
以前は作品でも使っていた書芸呉竹の紫紺を使っていましたが、賞状を書く上ではこちらの三歌仙の方がきれいな墨色だと感じました。
出してすぐに使えるので、手軽に練習をしたい時にも重宝する1品です。
また、にじみやすい布や和紙への筆耕の場合には、「開明 帛書墨」を使うことをおすすめします。
紙
これは、本番用の賞状とは異なり、試し書きをするためのものを指します。
先ほど筆の項目でも書きましたが、筆によって個性があるため、本番用に書く前には必ず試し書きをします。
賞状や封筒などの筆耕であればプリント用紙で十分です。
これらの道具が付いてくる通信講座もありますので、チェックしてみるのもおすすめです。
賞状書士・筆耕のお仕事にあると便利な道具
全ての賞状書士が使っているわけではなく、あると便利な道具について2つ見てみましょう。
ライトテーブル(トレース台)
サイズは賞状に合わせたA3が必要です。
賞状の用紙の下にガイド線を書いたりバランスを取った下書き用紙を置いたりすることで、本番用の賞状に線を書き込まずともまっすぐにバランスよく賞状を書くことが出来ます。
ユーキャンの通信講座であればこのライトテーブル付きコースも選択できますよ。
複合機
A3のもので、コピーやスキャナー、プリンターの役割を持つものです。
賞状の記名だけでなく本文も筆耕を必要とする場合にも、全体のバランスを調整するためのレイアウトに活躍してくれます。
その他
私の場合にはこちらの他に鉛筆・消しゴム・定規を使っています。
文字の中心を捉えるために薄く中心線を書き、賞状を書いた翌日以降に鉛筆の線を消しています。
この場合には消しやすく、表面がきれいな消しゴムを用意しましょう。
賞状書士・筆耕の道具はどこで購入するのがいい?
筆や墨など、どこで購入すれば良いのか悩む人も少なくありません。
私がよく購入する店舗など、5つご紹介しましょう。
オンラインショップ
なかなか買い物に行けない場合や、近隣に欲しい道具の取り扱いがない時に簡単に利用できるのがオンラインショップの強みです。
ただ、筆が傷んでしまったり墨が切れてしまったりと「すぐに」欲しい時に手に入らないのがデメリットではあります。
魁盛堂
私もよく利用する楽天市場から、書道用品の老舗「魁盛堂」をご紹介。
写経セットなど、どれを選べば良いのか悩む人にも購入しやすい工夫がなされています。
書遊
オンライン表装も手掛ける書道専門サイト。
古墨など、市販としては難しい道具も数多く取り揃えています。
筆の説明など、あまり説明して貰えない情報も掲載しているため、見ているだけでも楽しめるサイトです。
その他にも、開明など、書道用具として有名なメーカーが直営するオンラインショップもあります。
実店舗
実物を見て、「すぐに」購入できるのが実店舗の利点です。
デメリットとしては、近隣に店舗がない場合が挙げられます。
文房具店
文房具店には書道用具コーナーを作っている店舗も少なくありません。
また、老舗の文房具店であれば、自分が欲しい道具を仕入れて貰えるという対応も可能かもしれません。
ホームセンター
必ずしもすべてが揃うという訳ではありませんが、消耗品である小筆などは出来るだけ身近な店にある方が嬉しいですよね。
例えば、カインズホームであれば「あかしや」の筆の取り扱いが多少あるなど、それぞれのホームセンターによっては少数ではありますが小筆の取り扱いもあります。
墨や墨汁などの取り揃えは期待出来ないことを理解しておいてください。